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Channel: 消された伝統の復権
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野崎日記(398) 日本を仕分けする(22) 天変地異(1)

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 09年8月11日午前5時7分、駿河湾を震源とするマグニチュード6.5の大地震が東海地方を襲った。静岡県中西部と伊豆半島では震度6弱を観測した。静岡県内で震度6以上の地震を観測したのは、1944年に発生した東南海地震以来、つまり、戦後最大の地震であった。

 震源地が東海地震の想定震源地内にあったので、100〜150年周期で発生すると予測されているM8クラスの巨大東海地震の前兆かと列島を不安が駈けめぐった。

 それにしても、09年8月に入ってから、9日から14日までの間に、東海・関東地方には震度3以上の地震が6回も起こった。とくに、9日(日)夜の東海道南方沖で発生した地震では、都心や東北地方でも震度4を記録した。地震の規模はM6.8という巨大さであった。これは、04年の新潟県中越地震、07年の中越沖地震と同じ規模のものであった。かなり沖合いだったので、被害が小さかっただけである。

 専門家たちで構成される気象庁「地震防災対策強化地域判定会」は、11日に直ちに「東海地震と関連性はない」との見解を発表した。判定会会長の阿部勝征・東大名誉教授は、記者会見で次のように述べた。「規模の大きな地震が起きた後に『前兆』すべりが誘発されて、それが想定東海地震につながるのではないかという最悪のシナリオを懸念していた」と、安堵の表情を浮かべた。

 しかし、そもそも、前兆すべりという想定は正しいのか。

 東海地震は、フィリピン海プレートが、日本列島の下に潜り込み、その境界面にひずみがたまり、それが限界に達すると、ひずみを解消しよとプレートが大きく動いて発生すると想定されている。

 ひずみ解消運動が起こる前に前兆すべりがあると気象庁は観測を続けているのである。そして、09年8月11日の地震は、境界面よりももっと深い地点で発生したので、東海地震の引き金にはならない、事実、東海地震を誘発する前兆すべりは観測されなかったと、気象庁の判定会は判断したのであろう。

 しかし、井田喜明・東大名誉教授は、気象庁の判断に疑問を提起した。伊豆半島がフィリピン海プレートの「つっかい棒」の役割をはたしているが、11日の地震がこのつっかい棒を外した可能性は否定できない。もし、外したのなら、障害がなくなったプレートはさらに、日本列島に潜り込み、ひずみを増すことも考えられると『週刊朝日』の取材で語った。

 松村正三・防災科学技術研究所研究参事は語った。地盤がゆっくり動く現象を「スロースリップ」という。このスロースリップが静岡県を中心に起きている。00年から5年間にわたり、東海地震の想定震源地域にある浜名湖の地盤にその現象が観測された。そして、07年後半から静岡県中央部に向かって地盤が動いているし、静岡県西部では07年後半から地震が活発になっている。00年に三宅島噴火、04年に紀伊半島南東沖地震が起きた。さらに、11日の地震が起きた。事態は差し迫っていると同氏は懸念を表明した。

 想定震源域の真上に浜岡原子力発電所がある(「東海地震は近い」、『週刊朝日』09年8月28日号、127〜29ページ)。

 09年夏は不気味な現象が相次いだ。6〜7月に全国各地でオタマジャクシが空から降ってきた。いまだに原因は特定されていない。ミツバチが見られなくなった。失踪してしまったのである。大阪では、7月、日本にはいないはずのホメリンゴマイマイが大量発生した。8月には北海道でマイマイガが大量発生した。巨大なエチゼンクラゲも依然として大量発生している。今夏の房総半島沿岸の海水温度が例年より低く、海水浴客を震えさせた。魚市場には季節外れの魚が並んでいる。黒潮が例年より海岸沖に遠ざかったためとされている。梅雨がなかなか明けなかった。09年7月19〜26日には、中国・九州北部豪雨が発生、山口県防府市では、土石流の被害で死者が30人出たし、8月9〜10日、台風9号の影響で集中豪雨が発生、兵庫県佐用町では20人以上の死者・行方不明者が出たように、異常な豪雨が頻発した。7月27日には、群馬県館林市で竜巻が発生し、民家など400棟以上が損壊した。

 異常気象は、ペルー沖合の海面水温が高くなり、それによって気圧変化が生じ、大気の流れが変わって世界中で異常気象を引き起こすと一般的には説明されている。

 しかし、エルニーニョだけで今夏の異常気象を説明することは困難である。寒暖のバランスが崩れてしまっているのである。

 長期的には地球温暖化が進んでいるとしても、毎年着実に気温が上昇しているのではない。寒暖の差が大きくなるのが、進行している現象である。温暖化に大きくぶれると北極や南極の氷が一気に溶けてしまいかねない。寒冷化に大きくぶれると全地球が凍結してしまいかねない(スノーボール化)。

 気象異変も100年に1度のものといわれている。太陽活動の低下が生じているというのである。太陽野黒点は11年周期で数を増減させる。太陽の黒点は、太陽活動が活発なときに増え、不活発になると、その数を減少させる。09年は、周期的には黒点の数が最小にさせる不活発時期を乗り越えたはずであある。ところが、09年まったく黒点が増える気配がないのである。黒点が減ると、地球が太陽から受ける放射エネルギーも減る。雲も出やすくなるという。そして地球は寒冷化に向かう。

 歴史的にも、1645〜1715年の約70年間、太陽黒点がほとんど見えず、テムズ川が凍ったり、氷河が平野部にまで降りてきて、地球は急速に寒冷化した。江戸時代にも飢饉が続いた。光合成をする植物が減り、その受粉を請け負うミツバチがいなくなったことは大変な天変地異の到来を予兆しているのではないか(「日本列島異常事態」、『週刊朝日』09年8月28日号、130〜31ページ)。

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