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Channel: 消された伝統の復権
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野崎日記(400) 日本を仕分けする(24) オバマ(6)

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 民主党の指導部、常任幹事会は三一人いる。労働組合出身者は六人にすぎない。最高幹部と顧問の六人のすべては、元自民党である。労働組合や連合は選挙のさいの票田としつぃか機能できていない。

 鳩山代表は、違憲とまで反対していたインド洋への海上自衛隊派遣は、「外交の継続性が必要だ」として容認した。同じく、ソマリア沖への派遣継続を決めた。非核三原則の見直し、憲法改定にも言及している。これまであった「思いやり予算の検証」を削除した。日米地位協定の「抜本的な改定」を引っ込め、「改訂を提起」という表現に改めた。核兵器を搭載した艦船の寄港や領海内の通過は日米両国の事前協議の対象外にすると発言した(〇九年七月一四日)。朝鮮への制裁強化、道州制導入も示唆した。消費税率アップも明言した。自民党との違いはカレーライスかライスカレーの差でしかない。

 日米安保関係については、民主党は自民党の政策を踏襲するおとは間違いない。〇九年七月一八日、外務・防衛当局の局長級による日米安全保障高級事務レベル協議が開かれ、米国の日本への核の傘を含めた抑止力を強化すべく、定期的に協議することで両国は一致した。

 中曽根弘文外相は〇九年七月一一日、ズムワルト駐日米臨時代理大使との間で米海兵隊のグアム移転協定に基づく日本側の資金負担を定めた書簡を交換した。日本側の負担総額は六一億ドルである。五年間にわたって日本側は負担するが、とりあえず、〇九年度は三億三六〇〇万ドルを日本が支出することになった。米軍再編の費用まで日本が負担するのである。

 日米地位協定上、在日米軍駐留経費のうち日本側に義務づけられているのは基地の地代、基地周辺対策費だけであったはずだが、日本政府は、「思いやり予算」として、労務費・基地建設費、水光熱費、訓練移転費と拡大してきた。七九年には、年間六一億円であったが、現在は二五〇〇億円規模にまで拡大した。これは、日本の社会福祉費削減額を上回る規模である。七九〜〇八年度の提供施設整備費の累計は二兆円を超している。
 在外米軍基地の資産価値で、在日米軍基地は第一位であるばかりか、米同盟国で基地建設費のほとんどを支出しているのは日本だけである。

 また、日本経団連は、〇九年七月一四日、武器輸出三原則の緩和を提言した。現行F2支援戦闘機の防衛省への納入が二〇一一年度で終了するために、国内生産も終了することになって、関連企業が相次いで撤退していることが、経団連の提言の理由である。武器輸出三原則が緩和されれば、日本企業も武器の国際共同開発に参加できるようになるからである。つまり、日本の軍事産業を育てるためである。

 また、民主党は、橋下徹・大阪府知事が推奨するように、道州制の導入に積極的である。

 いまや、「地方分権」が錦の御旗に祭り上げられている。しかし、〇九年七月一五日の全国知事会の提言には、地方消費税の引き上げ、地方交付税の復元・強化が謳われた。これが道州制に移行すれば、弱小の自治体の財源を州が独占し、巨大公共事業を道州の首長たちが独占できるという構図に直結する。

 戦後の日本の地方制度は、基礎的な自治体である市町村と広域自治体である都道府県で構成されてきた。道州制は、現行の都道府県を廃止し、一〇前後の道州に再編することである。同時に道州制の提唱者たちは、基礎自治体を三〇万人規模の三〇〇市程度への市町村の再編を謳っている。道州は、いまの都道府県の仕事の一部と国の仕事を合わせた規模の巨大事業の推進を可能とする。しかし、それは、公務員、大学、福祉施設の数の大幅減少を同時に必然化するのである。こうして、地方分権の名の下に、地方自治の形骸化が進むことになる。

 今後、広域自治体の首長になれるのは、特定の層を集中的に攻撃し、過激な発言をしてテレビのお茶の間番組で人気者になれる資質を持つ人だけになる。これから、彼らが連合して道州制の名の下に、巨大事業を推進する時代に入る。二大政党もまたテレビで人気者の首長たちのご機嫌取りに走ることになる。

 三 カリフォルニア州の破綻の影響

 カリフォルニア州は、米国人口の約一二%を擁する人口面では最大の州であり、州内のGDPが約一・八兆ドルあり、フランスに匹敵し、大阪府の三倍もの規模である。

 単年度で約二六〇億ドルの財政赤字となり、州政府は〇九年七月一日、「非常事態宣言」を出し、IOU(I owe you)という借用証を発行し、七月中旬までで約五億九〇〇〇万ドルになった。バンカメとかシティグループはあまりもの大量発行に怖じ気づき、受け入れを拒否した。つまり、この借用証を買った人や企業はそれを現金化できないはめになっているのである。

 やむなく、シュワルツネッガー知事は〇九年七月二八日、予算を縮小させる修正案に署名した。
 しかし、この縮小予算では、州職員の解雇・自宅待機、給与カットのほか、学校や福祉関係支出で約一六一億ドルの削減が余儀なくされた。

 〇九年六月だけで約七〇〇〇人の役人・教員が解雇された。

 二万七〇〇〇人もの囚人が服役期間を短縮されて釈放された。いうまでもなく経費節減のためである。法廷までもが三日間休廷させられた。マリファナの合法化すら法案化させられるほどである。

 カリフォルニア州の完全失業率は全米平均を大きく上回る一二%である。
 全米最大の公的年金である「カリフォルニア州公務員退職年金基金」(カルパース)も、過去一年間に五六二億ドルもの損失を出している。公的年金であるために、州政府も放置できず、知事は年金改革を主張しているが、年金基金の損失額は州の歳出の半分以上もの規模になっている。給付の大幅引き下げと年金受給開始年齢の引き上げ、拠出金の増額などが確実視されている。開始年齢は一挙に六歳も引き上げられそうである。

 全米の州政府全体で赤字額は〇九年六月時点で一二〇〇億ドルにも達している。〇七年の地方自治体のデフォールト額は約三億四九〇〇万ドルであったのに、〇九年は上半期だけで約三一億五〇〇〇万ドルになっている。すでに一〇倍なのである。各州は、麻薬の合法化、アダルト産業、賭博への課税強化で急場をしのごうとしている。ユタ州では授業日数を減らしたり、学級当たりの生徒数を増やしている。ケンンタッキー州では、携帯電話の着信音への課税が導入された。バージニア州では、刑務所にいる服役者の部屋代を五倍に値上げするという法案を通した。


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